音羽指圧針灸院 の日記
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肩こりマッサージ・指圧治療の極意(5)~効果的なツボの押し方とは?
2011.06.15
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指圧では垂直圧の原則というものあり、専門学校での指圧実技等ではそのことはやかましく言われます。しかし、多くの人がそのことを誤解してはいないでしょうか。体表面に対して垂直であると単純に考えていると、効果的なツボ押しができないのです。
親指と人差し指の間の付け根にある「合谷」というツボは、顔の痛みなどによく利用されますが、即効的な鎮痛作用を期待するなら、本来のの合谷の位置より人差し指よりに中手骨を押し込むようにすると効果は大です。(筋肉を押すというより骨を押している感じです) このように鍼灸で使うツボと指圧で使うツボには若干のズレがあります。そして臨床的には、部位によって様々な角度の押し方があるのです。
私は背部を指圧する時、よく皮膚をやや引っ張り気味に押すという方法を用います。云わば「垂直圧」に対し「ずらし圧」です。それは「指圧ではなくマッサージだ」と言われるかも知れませんが、自分の感覚としてはその方がより自然なのです。手技療法において大切なのは気を合わせる、呼吸を合わせるということですが、それを容易にするのがこの押し方です。背中の施術の時よく肘を使って押す場合がありますが、その場合もずらし圧の方が効果が有りますし、より安全です。
実は人間の体は、筋肉だけでなく皮膚を介しても治療が可能なのです。皮膚を軽く引っ張ったり、摘むだけでも様々な症状が消失します。例えばお腹の調子の悪い時、お腹のいろいろな場所の皮膚を摘み上げてみて下さい。他の場所に比べ硬く感じたり、痛く感じたりするポイントを指先で擦っていると、不思議と症状が和らいできます。テープを貼るだけで痛みが消えるという理屈も、皮膚の引き伸ばしと関係があるようです。
このようにツボ刺激の方法には色々とあるわけですが.その人の体質や病態(証)によって選択すればいいのです。なかでもツボを指で押す方法は最もシンプルですが、様々な押し方のバリエーションがあり、結構奥が深いものがあります。
鍼灸師 指圧師 稲田健治